COLUMN

納付書が送られてこない?中間納付に関する最新対応ガイド

1-1. 納付書が来ないと気づいたときにまず確認すべきこと

法人税及び地方法人税の中間納付の時期に、納付書が届かず不安になる経営者の方は少なくありません。近年では「今まで納付書が届いていたのに、急に届かなくなって困った」という経営者の声が非常に多く挙がっています。実は税務署は、令和6年5月よりe-Taxでの電子申告を行っている法人など、一定の要件に該当する納税者に対して納付書を送らないことを定めており、「届かない」のではなく「送付対象外になっている」可能性があります。納付を忘れると延滞税が発生するため、税理士や会計担当者と連携し、納付期限や納付方法を早めに確認しましょう。

 

1-2. そもそも「中間納付」とは何か?どの法人が対象?

法人税及び地方法人税の中間納付とは、年1回の確定申告とは別に、税額の一部を前払いで納付する制度です。通常、NPO法人や公益法人を除く株式会社や合同会社などの法人は、前事業年度の税額が20万円を超える場合、事業年度開始後6か月を経過した日から2か月以内に中間納付を行う義務があります。

 

2-1. 令和6年5月以降の税務署の対応とは

前事業年度の法人税の税額が20万円を超える法人には、中間納付の義務があります。これまでは対象法人に対して税務署から納付書等が届いていましたが、行政経費の削減や官公庁のペーパーレス化、キャッシュレス納付の推進により、令和6年5月からは一部の法人に対して法人税および地方法人税の中間納付・確定申告に関する納付書等の送付が廃止されています。

 

2-2. 納付書等の送付が不要とみなされる法人の条件

具体的には、以下の条件に当てはまる法人には、法人税および地方法人税の納付書等が送付されなくなっています。
– e-Taxにより申告書を提出している法人
– e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人
– 「納付書」を使用しない手段(※)により納付している法人
※ダイレクト納付、振替納税、インターネットバンキング等によるキャッシュレス納付

 

2-3. 納付書が送られてこなくなった法人の対処方法

上記の条件に該当し、納付書が届かなくなった法人であっても、中間納付の納税額を確認する手段がなくなったわけではありません。税務署は納付書の送付をやめる代わりに、中間納付の期限月の上旬に、納税に必要な情報をe-Taxのメッセージボックスに格納しています。そのため、納付書が届かない法人は、自主的に納付期限を確認した上で、e-Taxのメッセージボックスにアクセスし、納税額を確認して納税する必要があります。また、e-Taxへのアクセスが難しい場合や、どうしても紙の納付書で納税したいという場合には、所轄の税務署に電話をすれば納付書を送ってもらうことができます。納付期限に間に合うよう、早めに税務署へ連絡するようにしましょう。

 

2-4. 万が一納付漏れが生じてしまい、納付期限に間に合わなかった場合

中間納付を期限内に行わなかった場合、延滞税が課されます。延滞税は、納付期限の翌日から実際に納付される日までの日数に応じて課される、利息的な性質を持つペナルティです。中間納税の金額が大きければ大きいほど、延滞税の金額も増えるため、十分な注意が必要です。

 

2-5. 今後も送られる納付書について

e-Taxで申告を行っているなどの一部法人に対して、法人税および地方法人税に関する納付書が送られなくなっていることは前述のとおりです。一方で、消費税の納付書や源泉所得税の納付書は、今後も引き続き送付されます。非常にややこしいですが、経営者としては、どの税目について納付書が届き、納付期限がいつかを事前に確認しておく必要があります。Googleカレンダーなどでアラート設定を行うのも有効です。顧問税理士や担当者任せにせず、経営者自身も納付スケジュールを把握することで、納付漏れのリスクを軽減できます。

 

2-6. 納付書が送られてこない法人の今後の対策

納付書の送付廃止に伴い、キャッシュレス納付の活用がより重要になっています。たとえば、ダイレクト納付を利用すれば、e-Taxで申告後にそのまま即時納付ができ、納付書も不要です。また、口座振替を設定しておけば、指定期日に自動で納税が行われるため、手間も納付漏れも防げます。このように、キャッシュレス納付を有効に活用して、納付ミスを防ぎましょう。

 

3-1. まとめ

まずは、自社が法人税および地方法人税の納付書の送付対象かどうかを確認しましょう。もし送付対象外に該当する場合は、中間納付の納付期限を事前に把握し、期限内に納付を完了できるよう手続きを行う必要があります。納付漏れを防ぐために、キャッシュレス納付をより有効に活用することもおすすめです。また、制度変更や納付実務の煩雑化が進むなか、顧問税理士との連携は今まで以上に重要になっています。納付書が送られないことで、企業の税務対応は“自分で把握・実行する”方向へとシフトしています。このような状況下で、税理士には納税スケジュールを把握し、経営者に必要なタイミングで助言・通知を行う役割が期待されています。今一度、顧問税理士との情報共有体制や契約内容を見直し、納税実務の安心体制を整えましょう。