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中間納付の納付書が届かない?最新ルールと対応手順を税理士が解説

「いつもの時期に納付書が届かない」「中間納付って自分でやるんだっけ?」——令和6年5月以降、国税の納付書送付ルールが見直されたことで、こうした問い合わせが増えています。本記事では、法人税・消費税の中間納付の基本と、納付書が届かないケースへの対処、キャッシュレス納付の選び方を税理士法人ユナイテッドが整理します。

▶ まず確認する3点

  1. e-Taxで申告書を出している、またはダイレクト納付・振替納税等を利用しているか。該当すれば令和6年5月以降の事前送付取りやめ対象で、納付書が届かないのは正常運用です。
  2. 消費税の中間申告書(兼納付書)は引き続き送付されています(e-Tax義務化法人を除く)。「消費税は届いたが法人税は届かない」というケースはここに原因があります。
  3. 「届かない=納付不要」ではありません。義務がある場合は届かなくても納付期限までに納める必要があり、過ぎれば延滞税の対象になります。

目次

中間納付とは?対象となる税目と基準

中間納付(中間申告納付)とは、事業年度・課税期間の途中で税額の一部を前払いする制度です。1年分の税負担を一括で支払う負担を平準化する目的があります。対象となる主な税目と発生基準は次のとおりです。

法人税の中間納付

前事業年度の確定法人税額が20万円を超える法人は、中間申告・納付の義務があります(法人税法第71条第1項)

  • 申告期限:事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内
  • 納付額:原則として「前事業年度の確定法人税額 ÷ 前事業年度月数 × 6」(通常は半額。これを予定申告と呼びます)
  • 仮決算による中間申告:業績が悪化している場合は、中間期間で仮決算を組んで中間納付額を計算することもできます(法人税法第72条)。ただし手間とコストがかかること、後述(FAQ Q2)の制限事項があるため、適用は慎重に判断します。

なお、20万円超で義務が生じても、計算結果(予定申告税額)が10万円以下またはゼロの場合は、中間申告書の提出を省略できます(法人税法第71条第1項ただし書)。ただし提出を省略しても、計算上の予定額が確定したものとみなされて納付義務は残る点には注意してください(みなし申告)。

消費税の中間納付

消費税の中間納付は、直前課税期間の確定消費税額(国税分のみ・地方消費税を除く)に応じて回数が変わります(消費税法第42条)

直前課税期間の確定消費税額 中間申告の回数
48万円以下 原則不要(任意の中間申告は可能)
48万円超〜400万円以下 年1回
400万円超〜4,800万円以下 年3回
4,800万円超 年11回

中間申告書の提出期限・納付期限は、原則としてそれぞれの中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内です。法人税と異なり消費税は免税事業者を除き発生しやすいため、特に注意が必要です。

地方法人税・源泉所得税

地方法人税は法人税と連動します。法人税の中間申告をすべき法人は、地方法人税についても同じ期限で中間申告書を提出する必要があります(地方法人税法第16条)。実務上は法人税の中間申告書とまとめて提出します。

源泉所得税は給与・報酬等を支払う事業者が毎月(または半年ごと)に納付するもので、本記事の主題とは性質が異なります。ただし、後述の納付書事前送付取りやめの影響を受ける税目なので併せて確認してください。

令和6年5月以降の「納付書が届かない」仕組み

従来、税務署からは中間納付の時期にあわせて納付書が事業者あてに郵送されていました。これが、令和6年(2024年)5月以降に送付される分から、対象を絞り込んで事前送付が取りやめになっています。「納付書が届かないと中間納付ができない」と思い込んでいる事業者にとっては影響が大きい変更です。

事前送付が取りやめになった主な対象

  • e-Taxにより申告書を提出している法人
  • e-Tax利用が義務化されている法人(資本金1億円超の法人・相互会社・投資法人・特定目的会社等)
  • e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望した個人
  • 「納付書」を使わない次のいずれかの方法で納付している事業者
    • ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
    • 振替納税
    • インターネットバンキング等
    • クレジットカード納付
    • スマホアプリ納付
    • コンビニ納付(QRコード)

ただし、すべての中間納付関連の納付書が一律に取りやめになったわけではありません。税目によって扱いが異なる点に注意してください。

税目・対象 事前送付取りやめ 引き続き送付
法人税の中間納付(予定申告) e-Tax申告/キャッシュレス納付者 書面申告で納付書納付の法人
消費税の中間申告書(兼納付書) e-Tax義務化法人のみ 上記以外(中小法人・個人事業主含む)
源泉所得税 キャッシュレス納付者 納付書納付の事業者

消費税の中間申告書(兼納付書)は申告書としての機能を兼ねるため、e-Tax義務化対象でない多くの中小法人・個人事業主には引き続き送付されています。「消費税の中間納付書だけ届いた」「法人税の納付書だけ届かない」というケースが起きるのはこのためです。

「自社が送付対象なのか・取りやめ対象なのか」を税目ごとに確認することが、まず最初のステップです。背景には、e-Tax・ダイレクト納付などキャッシュレス納付の利用率向上を促し、税務行政コストを削減する狙いがあります。納付書送付の取りやめは「廃止」ではなく「対象の見直し」であり、必要な事業者には引き続き送付されている点は誤解しやすいので注意してください。

納付書が届かない場合の対処

納付書が届かないとき、次のように落ち着いて対応します。「届かない=納付しなくてよい」ではないことを必ず押さえてください。

  1. 自社が事前送付の取りやめ対象かを確認する。e-Taxで申告している、ダイレクト納付・振替納税を利用しているなどに該当すれば、取りやめ対象である可能性が高いです。
  2. 税目を確認する。上記マトリクスのとおり、消費税の中間申告書は引き続き送付されているケースが多く、「届かない」のは法人税の中間納付や源泉所得税である可能性があります。
  3. 顧問税理士または所轄税務署に問い合わせる。顧問税理士がいる場合は、税理士から納付方法の案内が出ているケースがほとんどです。顧問税理士がいない場合は、所轄税務署(住所地・本店所在地を管轄する税務署)の徴収部門に直接問い合わせれば、納付書の再発行や納付方法の案内を受けられます。
  4. キャッシュレス納付に切り替える。納付書が無くても納付できる方法(後述)に切り替えれば、未着リスクそのものが消えます。

注意:納付期限を過ぎると延滞税が発生します。延滞税は法定納期限の翌日から自動的に課されるもので、「納付書が届かなかった」「気づかなかった」という事情では原則として免除されません(国税通則法第60条)。納期限の2か月以内なら年2%台、2か月を超えると年9%台と、率も小さくありません(具体的な利率は毎年変動するため最新は国税庁サイトでご確認ください)。なお、災害その他やむを得ない事情がある場合や、資金繰りが厳しい場合は、納税の猶予・換価の猶予など軽減・分割の制度もあります(FAQ Q2参照)。

キャッシュレス納付の選択肢

納付書未着リスクを根本的に避けるには、納付書を使わないキャッシュレス納付に切り替えるのが確実です。実務で使われている主な方法は次のとおりです。

ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)

事前に税務署に届出をしておくと、e-Taxで申告データを送信した後、指定した日付に銀行口座から自動引き落としで納付できる仕組みです。インターネットバンキング契約は不要で、税理士関与の有無にかかわらず使いやすい方法です。

令和6年4月以降に法定納期限が到来する申告手続からは、申告データ送信時にチェックを入れるだけで法定納期限当日に自動引き落としされる「自動ダイレクト」も使えるようになりました。納付の手続きを忘れたまま納期限を迎える、というミスを防ぎやすくなっています。

振替納税(個人事業主向け)

個人事業主が所得税・消費税を口座振替で納付する制度です。所得税の確定申告分・予定納税分・消費税の確定申告分・中間納付分などが対象。事前に振替依頼書を税務署に提出しておけば、自動で口座振替されます。法人税の中間納付には振替納税は使えないため、法人はダイレクト納付等が選択肢になります。

その他の方法

  • インターネットバンキング・ATM:e-Taxから納付情報登録依頼を行い、Pay-easy(ペイジー)で納付
  • クレジットカード納付:「国税クレジットカードお支払サイト」経由。決済手数料が別途かかる点に注意(手数料は事業者負担)
  • スマホアプリ納付:1回30万円以下までの上限あり。対応決済アプリは国税庁サイトで要確認
  • コンビニ納付(QRコード):1回30万円以下までの上限あり。e-Taxまたは国税庁サイトでQRコードを発行

事業規模・納付額・社内の経理体制に応じて選びます。中小法人・個人事業主であれば、まずはダイレクト納付(自動ダイレクト含む)を整備しておくのが堅実です。なお、スマホアプリ納付・コンビニ納付は1回30万円までの上限があるため、中間納付額が30万円を超える事業者にとっては実用性が限定されます。

よくある質問

Q1. 中間納付は必ず納めなければなりませんか?

A. 法人税は前事業年度の確定法人税額が20万円超、消費税は直前課税期間の確定消費税額が48万円超の場合、原則として中間申告・納付の義務があります。納付書が届かないからといって免除されることはありません。納付書未着のまま期限を過ぎれば延滞税の対象になります。なお、計算結果が10万円以下となり中間申告書の提出を省略した場合でも、計算上の予定額は確定したものとみなされて納付義務は残ります(みなし申告)。

Q2. 業績が悪化していて中間納付がきついです。減らす方法はありますか?

A. 法人税・消費税ともに仮決算による中間申告を選択することで、実際の業績ベースで中間納付額を計算できます。前期と比べて業績が大幅に悪化している場合は有効ですが、注意点が2つあります。

  • 仮決算で計算した結果が予定申告額(前期実績ベース)を上回る場合は、仮決算方式は使えません。
  • 仮決算で赤字となっても、中間段階での還付は受けられません。

本決算と同様の決算手続が必要になり手間も増えるため、納付額の減少効果と事務負担を比較して判断します。判断に迷う場合は税理士へ相談するのが安全です。なお、資金繰りが厳しい場合は換価の猶予制度(納期限から6か月以内の申請で延滞税の軽減等が受けられる)の利用も選択肢になります。

Q3. 納付した中間納付額は、最終的にどう精算されますか?

A. 確定申告で計算した年間税額から中間納付額を差し引き、差額を納付(または還付)します。中間納付額が確定額を上回った場合は還付されます(還付加算金が付く場合もあります)。中間納付は「税金を多く払った」状態ではなく「年間税額の前払い」と理解してください。

Q4. キャッシュレス納付に切り替えるとき、何から始めればよいですか?

A. 法人の場合は、まずe-Taxの利用開始届出と、ダイレクト納付の届出を税務署に提出するのが第一歩です。届出書を書面で提出する場合は実際に使えるようになるまで約1か月、e-Tax経由で電子的に提出する場合は1週間程度が目安です。顧問税理士がいる場合は税理士経由で手続きできます。次回中間納付の前に、余裕を持って動き始めましょう。

Q5. 納付書を紛失してしまいました。どうすればよいですか?

A. 所轄税務署に連絡して納付書を再発行してもらうか、e-Taxまたは国税クレジットカードお支払サイト経由で納付書を使わずに納付する方法に切り替えます。納付期限が迫っている場合は、まず税務署または顧問税理士に連絡してください。

まとめ・無料相談のご案内

令和6年5月以降の納付書事前送付取りやめは、e-Tax利用やキャッシュレス納付を進めている事業者にとっては実害の少ない変更ですが、「納付書が届くから納付する」という運用に慣れている事業者にとっては納付漏れリスクが急に高まる変更です。延滞税は納期限翌日から自動で発生し、「届かなかった」「気づかなかった」では原則として免除されません。

あわせて押さえたいのは、消費税の中間申告書(兼納付書)はe-Tax義務化法人を除き引き続き送付されている点です。「消費税は届くのに法人税は届かない」というケースは制度どおりの運用であり、税目ごとに事前送付の扱いが違うことを理解しておけば慌てずに済みます。

対策の本筋は単純です。「納付書を待たない運用に切り替える」——具体的にはダイレクト納付・自動ダイレクトを整備し、中間納付の時期を事前にスケジュールに組み込んでおくことです。あわせて、業績悪化時の仮決算選択肢や、資金繰り悪化時の換価の猶予制度も含めて、毎期の中間納付運用は税理士と確認しておくと安全です。

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監修:渡辺・林原(税理士法人ユナイテッド)
公開日:2025年7月17日/最終更新日:2026年4月29日
法令基準日:2026年4月時点

本記事は2026年4月時点の法令・国税庁公表資料に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事業者に対する個別の税務相談・税務判断を行うものではありません。中間納付の要否・税額・最適な納付方法は、事業の状況・申告区分・関与税理士の有無等により異なります。実際の運用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。延滞税の利率・キャッシュレス納付の取扱いは年度により変更される可能性があります。最新情報は国税庁公式サイトでご確認ください。