法人設立届出書とは?起業後に必要な提出手続きと正しい書き方ガイド
(2025年8月9日更新)
1. 法人設立届出書とは何か?
1-1. 起業後に必要な最初の税務手続き
法人設立届出書は、会社設立後に最初に行うべき税務署への届出書類です。この書類を提出することで、税務署がその法人の存在を正式に把握し、法人税や消費税をはじめとする必要な税務手続きの案内等が届くようになります。事業を開始したばかりの会社にとって、信頼される経営を行うためにも、きちんとした税務対応の第一歩として法人設立届出書の提出は欠かせません。
1-2. 提出しないとどうなる?リスクとペナルティ
法人設立届出書の提出を忘れると、特段のぺナルティというものはないものの、本来税務署から届くべき書類が届かず、適切な時期に納税等の対応が出来ない等の不利益を被る可能性があります。
2. 法人設立届出書の提出先と提出期限
2-1. 税務署への提出期限は「設立日から2か月以内」
法人設立届出書は、会社設立登記の日(法人設立日)から2か月以内に、所轄の税務署へ提出する必要があります。設立日を迎えたら、すぐに必要書類を洗い出し、できるだけ早めに準備を進めることが大切です。提出期限を守ることで、今後会社として行うべき税務業務がスムーズになります。
2-2. 提出先の税務署の確認方法
提出先となる税務署は、法人の本店所在地を管轄する税務署です。国税庁のホームページで郵便番号を入力することで簡単に調べることができます。また、法人登記時の住所と実際の事業所所在地が異なる場合には、誤って異なる管轄に提出しないよう注意が必要です。提出は紙面に印刷したものを税務署へ直接持参するか郵送、またはe-Taxで行います。なお、2025年1月より税務署では届出書への受領印の押印を廃止しているため、仮に税務署へ紙面で提出した場合に控えの書面に受領印は押されず、提出の証拠が残らないことになってしまいます。その点、e-Taxで提出すれば税務署の受領情報が電子データ上で確認が出来るため、提出の証拠を残したい場合は紙面での提出ではなくe-Taxを利用することをおすすめします。
3. 法人設立届出書の主な記載項目や書き方、添付書類等
3-1. 基本情報(法人名・所在地・代表者など)
記載の最初には、法人名(商号)、本店所在地、法人番号、代表者の氏名と住所など、登記簿謄本に記載された情報を正確に転記する必要があります。これらは法人の基本情報となり、他の届出書や申告書と共通して使用されるため、誤りのないように記入しましょう。漢字・カナの使い分けや略称を避け、登記簿謄本と一致するかどうか確認してから記載することが重要です。
3-2. 事業内容・資本金・決算期
事業内容は定款に記載された主な業務内容を簡潔に記載します。詳細すぎる必要はありませんが、税務署が業種を判別できる程度には具体的に書きましょう。また、資本金の金額は初年度から消費税の課税事業者になるか否かに重要な影響を与え、決算期は法人税の申告期限や節税対策に重要な影響を与えるため、慎重に決定・記載する必要があります。税務戦略上の観点から、会社設立前に税理士に相談してから資本金や決算期を定めるのも一つの方法です。
3-3. 添付書類一覧と注意点
法人設立届出書には、以下の添付書類が必要です。
- 定款の写し(必ず提出が必要)
- 株主名簿等(必要に応じて)
いずれもコピーで問題ありませんが、明瞭で読みやすい状態で提出するよう心掛けましょう。
4. よくある間違いとその対処法
4-1. 記載ミスにより修正や再提出依頼されるケース
法人設立届出書にありがちなミスには、法人名や住所の記載間違い、法人番号の記入漏れ、設立日と登記日との混同などがあります。ミスが多く、記載内容が実態からかけ離れている場合は税務署から修正や再提出依頼されることもあるため、時間と労力を浪費する原因につながります。事前に登記簿謄本や定款を見ながら正確に転記し、提出前に誤りがないか必ずチェックを行うようにしましょう。
4-2. 添付書類の不備と提出忘れ
法人設立届出書の提出に際し、定款等の添付を忘れるケースも少なくありません。特に定款の提出を忘れた場合は、必ず再提出を求められるため、紙面・e-Taxのいずれの提出方法の場合でも定款の提出は忘れないように注意しましょう。
5. 税理士に相談すべきタイミングとは
5-1. 書類作成が不安な場合は早めの相談を
法人設立届出書は比較的シンプルな書式ですが、他の税務届出書との関係性や、今後の税務処理の前提となる情報も含まれています。そのため、初めての起業で書類作成に不安がある場合は、できるだけ早い段階で税理士に相談することをおすすめします。税理士に依頼すれば、書類の記載内容だけでなく、青色申告や消費税の適用選択の判断も含めたアドバイスが得られ、正確かつ有利な形でスタートが切れます。
5-2. 顧問契約の検討時期とメリット
法人を設立したばかりの経営者は、経理や税務の経験が乏しいことが一般的です。そこで、法人設立後すぐのタイミングで顧問税理士を探すのもひとつの選択肢です。顧問契約を結ぶことで、記帳や月次報告、節税のアドバイス、年末調整や決算申告まで一括してサポートを受けられるため、本業に集中できる環境が整います。また、税務署からの問い合わせや調査に対しても、専門家の立場で対応してもらえる安心感があります。
【まとめ】法人設立届出書は正しく・早めに提出を
法人設立届出書の提出は、会社として正式に税務の土台を築くための第一歩です。設立から2か月以内という提出期限を守り、記載ミスや添付漏れのないよう丁寧に作成することが求められます。この手続きを確実に済ませておけば、以降の法人税や消費税の申告もスムーズに進み、安心して本業に専念できるようになります。税務署からの信頼を得る意味でも、最初の対応が重要です。
なお、先ほど申し上げたとおり、2025年1月より税務署では受領印の押印を廃止しているため、紙面での提出の場合は控えの書面に受領印は押されず提出の証拠が残りません。そのためe-Taxの利用をおすすめしますが、利用方法が分からない等の不安がある場合は税理士への相談も視野に入れながら、慎重かつ早めの対応を心がけましょう。
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